五八PRODUCTS、通称「五八(ごはち)」は、長崎県出身の五島史士と北海道出身の八木沼修の2人のユニットとして2011年2月に東京・三鷹でスタートしました。
互いに苗字の頭文字が“五”と“八”という漢数字という偶然でもありましたが、商い用語に“ごはちさん”という隠語があり、九九の 五×八=四十(しじゅう)から“始終お越しになるお客様”を指す言葉であると知り、活動をスタートする際に思っていた「日本に残る伝統的工芸品や各地で根ざす技術が“特別なモノ”としてではなく、現代のライフスタイルの日常に普通に溶け込むような“さりげないモノ”として、しじゅう(四十)使ってもらいたい、しじゅう(四十)身近にあって欲しい」という思いと結びつくところがあり、五八PRODUCTSと名付けました。
2人のそれぞれの活動の中で触れた、産地や作り手の楽しい話やすごい技術、彼らの作る素敵なモノを「もっともっと知ってもらいたい。」という思いからスタートしましたが、よく「五八PRODUCTSは何屋さん?」と尋ねられるのですが、五八PRODUCTSは“企画やデザインのできる新しい形の問屋さん”とお話しすることが多いです。
“問屋”と書くとマイナスなイメージを持つ方もいるかと思います。しかし、そもそも問屋とは商品を売ることがメインではありますが、それと同時に、産地全体が上手く回るように俯瞰してバランスを保つ産地プロデューサー的な大切な役割を担っていて、その存在により、作り手や職人さんが、安定的に仕事を確保できるようになり、産地全体の形成も保たれていたのです。ところが時代の進歩と、その進むスピードが加速してきた現代に於いては、その存在や産地の形成が徐々に崩れてきているというのが、いまの伝統的工芸品の置かれている現状と言えます。
産地へ訪れると、問屋に対して良い面をお聞きすることもありますが、やはりあまりいい話が聞こえて来ないのが実情です。
同じように“デザイナー”に対してもマイナスのイメージを持っている方が産地にはいます。また、消費地へ目を向けると、お客様側の立場からすると「伝統工芸品は扱いにくく高い」というイメージもまだまだあります。
五八の立ち上げ以前、「そんな状況でさまざまな問題やお互いの悪いイメージを改善しよう!とがんばったとしても、短期的に解決策を講じることは難しい」と、何かモヤモヤしていた時期がありました。ところがある時「自分達の立ち位置の中で問題解決の糸口を見つけていくには、作り手・売り手・使い手の間に横断的に関係性を作っていかないと前進していかないだろう」という話をしたことが“五八=新しい形の問屋さん”としてのスタートになり、まもなく5年目に入ろうとしています。
それでは、実際の五八PRODUCTSで取扱いしています商品を事例に、五八の事や商品の背景や産地の事など五と八がリレーで、話を繋げていきます。
Comment from the Curator
五八のモノ作りには1番に「楽しむ」キモチがたっぷり入っているように感じます。
もちろんそればっかりで実用性やデザイン性の要素がなければ人を惹きつける事が
できません。
そのバランスがホントにうまく取れているな~っと思ったのが「五八」のお二人が
作り出すモノでした。一つ一つの商品に込められた思いと時間がたっぷりあります。
熟練された職人の腕に、今の時代にあったデザインとアイデアを加える。
その試みは、みんなを幸せにする「モノ作り」のような気がしてなりません。
次回は一つのアイテムができるまでの詳しいお話しです。
商品になるまでの裏側にある貴重なお話しも聞けるかも!
References & Thanks to
2
1月19日公開
五八PRODUCTSでも多くの商品を扱っている、肥前吉田の陶磁器ブランド「224porcelain(ニー・ニー・ヨン・ポーセリン)」。シンプルだけど機能的なテーブルウェアのSUIシリーズ、本棚に彩りを添えるはなぶんこ、ペーパーフィルターのいらないコーヒードリッパー「Caffé hat」など、五八と共同開発した商品を紹介します。
3
2月16日公開
国産うちわの約90%を生産する香川県丸亀市。江戸時代から受け継がれる伝統技術に、五八PRODUCTSの新しい解釈を加えて生まれた「丸亀うちわ Ojigi」は、首をかしげておじぎをしているように見える愛らしい形が特徴です。
4
3月15日公開
まるで箱入りキャラメルのようなかわいい石鹸『旅する石鹸』。形にも品質にもパッケージにもしっかりと意味があるのです。企画先行型のモノづくりは、五八プロダクツの新しい可能性を感じさせてくれます。
5
4月19日公開
大正時代に長野県で農業閑散期の産業として生まれた「農民美術」。戦後の復興とともに再び復活したこの運動は現在でも地域の作り手の皆さんによって受け継がれています。この長野県農民美術と五八プロダクツの出会いのきっかけとなった木端人形「雪ん子」。その値段には思わず膝を打つ「根拠」がありました。
6
5月24日公開
2016年で活動5周年を迎える五八PRODUCTS。産地との関係を重視して、あえて「デザイナー」ではなく「問屋」であることを選んだことの意味を、今改めて見つめ直しています。若い世代に日本の物づくりの素晴らしさを伝えていくために、産地や作り手の人々と消費者の間で五島さんと八木沼さんの挑戦は続きます。