carbon

雑貨店、ピアノ教室

大阪の谷町六丁目にある雑貨店&ピアノ教室。フランス製の雑貨や、品質にこだわった国産のおもちゃや家具などが所狭しと並んでいます。コンセプトはOPEN当初からずっと変わらず「贈り物」。

あたらしい夏のcarbon

大阪谷町六丁目

おおさかたにまちろくちょうめ

大阪の谷町は、大阪城の西側に伸びる谷状になった地形で、古くから職人と商業の町として栄えた地域。谷町六丁目はその中心に位置し、谷町筋や空堀通り、長堀通り、松屋町筋などに囲まれている。空堀通り商店街をはじめ、下町の雰囲気を残しつつも、新しいカフェや雑貨店などの個人店も多く、観光客にも人気がある。「タニマチ」と呼ばれる相撲の個人スポンサーは、この谷町にあった相撲好きの開業医に由来していると言われている。

1あたらしい夏のcarbon

carbonリニューアル!

2017年、夏。
いかがお過ごしですか?

1999年に谷町六丁目に小さな雑貨店「carbon」をOPENさせてから18年。人間なら大学に入ったり社会人になったりしている年齢です。周りの人たちからもそろそろ一人前として認めてもらえるようになってきた頃でしょうか。

この18年のあいだにcarbonは谷町筋を挟んで一度移転しましたが、それ以外はずっと同じ、谷町六丁目の一角で赤いロゴマークのお店として営業してきました。OPENと同時にピアノ教室も始め、ある人にとっては雑貨屋のcarbon、またある人にとっては音楽教室のcarbonとして、今ではもう私だけのcarbonではないという事実が、この18年間の決して短くはない年月に裏付けられているようです。創業当初、自分の好みをすべて詰め込んだワガママな空間だったcarbonが、それなりに分別のついた大人として成長してきたような気もします。

OPEN以来変わらないcarbonのロゴマーク

「carbon」という名前は、元素記号から選びました。男子マサリ(?)で科学やクルマが好きだった私は、店の名前にはかわいらしい単語よりロマンチックな元素記号を使いたいと思い、「C(カーボン=炭素)」と「Zn(ジンク=亜鉛)」で悩んだ末に「carbon」に決めました。

「carbon、carbon…」
その名前を何回声に出して言ってみても、自分のお店というにはまだ少しピンときません。でもそれがcarbonと私の一番心地いい距離感で、だからこそ18年間続けてこられたのだと思います。なぜなら、carbonと私は常にお互いの存在を鏡に写しながら、時には目を背けたり、時には慰めあったりしながら、一緒に切磋琢磨してきた関係のような気がします(喜びや楽しさ、達成感や絶望感いろんなコトを味わってきました)。

「あたらしい夏」のキッカケ

今まで思いがけないキッカケが、何度も私をあたらしい場所に突き動かしてきました。いっそ店を畳んでしまおうかと思ったコトは何度もあります、色んな人の助けを借りて、そのままあきらめてしまうより形を変えてでも続けることを選んできました。2017年はcarbonと私にとってそんな何度目かの大きな分岐点となりそうです。

今年の夏、carbonは改装をして生まれ変わります。
今回のリニューアルのキッカケは、ここ数年、工務店の完成見学会で雑貨や家具をレンタルしてコーディネートしたり、パンフレットの撮影のスタイリングをさせて頂くコトで、インテリアコーディネートやスタイリングの仕事を本格的にやってみたいなーと考えるようになったからデス。そのためにはcarbonよりも広いスペースが必要で、アンテナを張ってあちこち物件を見て回りました。(スグにカタチから入ろうとするのは悪いクセです)その計画は紆余曲折を経て今回のcarbonの改装につながっていくのですが、そのときの思い込みがなければ2017年のcarbonのリニューアルはなかったデス。

今、頑張るのは10年後に振り返ったときにキラキラしたモノを見たいから。
1999年を思い出すと少し眩しい。無駄な動きや若さゆえの浅はかさもあったけど、あの時にしかできなかったコトをしっかりやって、今の私に繋いでくれたと思えます。「よくやった!」とあの頃の自分を一言褒めてやりたい。脇目もふらずにコツコツと同じことを続けて、ふと思い立って大きくジャンプして次のステップに進む。そんな繰り返しを飽きずにしていくコトがどうやら性に合っていたみたい。

そうと決めたら善は急げ!「あたらしい夏」はすぐそこでスタンバッています!

「carbon」という作品に挑戦

改装工事のスケジュール表

普段はフクダ・ロングライフデザインの営業企画チーフとしてお客様の住まいづくりに携わっていますが、施主の立場で現場に入るのは5年振り。自分が施主になる時は、自分の作品を作るつもりでのびのびと自由に空間を作れる楽しさがあります。しかも今回は久々に「carbon」という作品に挑戦です。

4月から始まった改装計画、現在(2017年7月現在)は工事の真っ只中ですが、carbonのブログにパーツ毎のエピソードをレポートしています。タイル編ガラス編建具編左官編など、雑貨店のブログとは思えない内容ですが、ぜひご覧ください。

KAMAKULANIでは楽しかった現場の話を書きましょう!

大工さんの作業で一番好きなのは墨だしです。水平、垂直を計る「トランシット(測量機器)」という器具を用いて墨糸で壁などに印を付けていく作業です。この作業が狂うと真っ直ぐでない空間になるというわけです。墨だし工という職業もあるそうで、建築現場において更地から竣工までありとあらゆる基準になる線を引く仕事です。「三角関数」などの数学の授業で習った用語も飛び出してきて、とても頭を使う工程です。

今回の現場に集まったのは、20年以上付き合いのある現場監督さんと大工さんたち。愛をこめて「チームcarbon」と呼んでいます。現場の雰囲気が好きな私は、なるべく現場入りしてチームcarbonのイチ員として一緒に手を動かします(時には口や足も…)。長年の経験と勘から少しでも効率よく現場を収めようとする大工さんと、それを阻止する(思いつきでスグ変更する)私。そんな笑いと緊張感のある闘いの場を仲裁する現場監督さん…。

でも、そんな私でも現場で役に立つことがあるんです。今回の私のお手柄はピアノの防音室の壁!

空っぽになったピアノ教室

もともとの防音用に石膏ボードに0.3mmの鉛を貼った壁を使用していたのですが、それは15年も前のコト。あたらしい建材がドンドンできてきているので、取り付け前日に何気なく調べてみると、鉛ではなくゴム製の部材を貼ったモノがあることを発見。新建材を試してみたい大工さんは「それで1回やってみたいわー!」というものだから、スグに建材屋さんで資材を手配して、通常の配送では間に合わないから車を飛ばして倉庫まで取りに行き、翌日に自ら現場に納入というスピード感!こんな危なっかしい綱渡りは、お客様の現場ではできません!自分の現場だからこそ実現できたコトですが、それがとても嬉しかった。

そしてその結果、店に立っていても教室のピアノの音が今までより更に遠くに感じられるようになりました。

千知岩さんのパース

いつもは行き当たりばったりで頭のなかにあるイメージを大工さんに伝えて困らせてきた私ですが、今回はフクダ・ロングライフデザインの設計チーフである千知岩さんにお願いして手描きパースを起こしてもらいました。そのおかげで現場でイメージの共有がスムーズにでき、改めてパースの重要性を実感しました。千知岩さんは、福田社長が自ら「すごい設計をする人がいる!」と見惚れてフクダに来ていただいた程の実力の持ち主。今ではフクダ・ロングライフデザインの設計チームを牽引するチーフデザイナーですが、シャイで優しく、とても素敵な方です。千知岩さんの設計した家に住めるフクダ・ロングライフデザインのお客様がうらやましい!と、いつもホンキで思っていマス。笑!

あたらしい夏のcarbon

三嶋さつきさんのイラスト入りメッセージカード

今回はDMなどの紙モノも一新。KAMAKULANIでの連載が大好評だった三嶋さつきさん描き下ろしのイラストを使ったメッセージカードや新商品など、リニューアルに向けて少しづつ形にしています。その過程で生まれたのが「あたらしい夏のcarbon」というコピー。川端康成がノーベル賞の授賞式で演説した「美しい日本の私」をもじったような、そんな言葉遊びが、今の気分にピタっとハマりました。

リニューアルの告知のDMは、せっかくなので今までのcarbonとは一味違った雰囲気にしたくて、2009年にオレゴン州立大学で200年ぶりに新しく発見された青色「YInMnブルー」をイメージした鮮やかな青にしました。

「あたらしい夏のcarbon」
今はこのタイトルに導かれて、ただただ前だけ見て進んでいます。たくさんの方に感謝する思いはありますが、ココには書きません。ちゃんと、その人のところに心を込めてお届けいたします。

青いハガキに「ありがとう」のキモチをそえさせていただきます。

あたらしい夏のcarbon

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8月1日公開

あたらしい夏のcarbon

大阪谷町六丁目の「carbon」が18年目のリニューアル。ある人にとっては雑貨店として、またある人にとってはピアノ教室として、谷六とともに育ってきたcarbonの改装レポート。店主はフクダ・ロングライフデザインの営業企画チーフであり、KAMAKULANIのキュレータを兼任するデキさん。この夏、どんなキッカケがcarbonをあたらしい場所へと突き動かしたのでしょう?

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公開予定

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