自分の気持ちの整理として書かせてもらったこのコラムも、今回が最終回。
今まで、歌の中でしか自分のことを表現できないと思っていたけれど、またちょっと違う場所をくれたKAMAKULANI。私を見つけてくれたキュレーターDEKIさんに、心から感謝を。
そして、ここに読みにきてくれたあなたへ。本当にありがとう。
今までを振り返って、1曲ずつライナーノーツを書きたいところですが、全然収まらないので…アルバムにまつわる小話を。
セルフレーベルから全国発売したデビューアルバム。すべてが初めてで、いろんな所にぶつかりながら進んで出来た一枚。恥ずかしいほどまっすぐな声ですが、あの頃にしかなかった感性があって、ハッとさせられます。この1曲目「三つ窓の光」が好きで、詞のような三つの窓がある家を建てた、という方に出会いました…
実はこのジャケット撮影時、おたふくの真っ最中。(※無修正です)髪が長くて本当に良かった。(笑)今ならば迷いもなく延期しますが、そんな判断をする余裕も無かった私。そんな気迫も伝わる、詩も歌も濃いアルバムです。このCDのインストアライブで出会った高校演劇部顧問の先生が、各曲をシーンモチーフとした演劇作品を作ってくれました。いつかまた再演したい感動の演劇作品です。
大事な人へ手紙を書くように書いた2曲だったので、手紙として出せるCDを作りました。歌詩は便箋になっていて、お手紙用便箋も入っています。完成したとき、たくさんの人に手紙として出せることが嬉しかったです。今でもWEBストアで購入できます。
歌文リリースがきっかけで初めて自主レーベル以外からの全国リリース。全国のラジオ局の推薦曲として流され、たくさんの人との出会いを作ってくれた曲。ジャケットの絵は自分で描きました。中国での友好イベントでは「いずこの空」をタイトル「惜別」として、現地の中学生と一緒に歌わせてもらいました。
「夢のかなた」を偶然ラジオで聴いてくれた方が「娘に聞かせたい」と、娘さんの中学校の卒業式にてサプライズライブをしました。旅立ちの日に送る歌に選んでもらえたこと、あの日の二人の涙は一生の思い出です。中高生の合唱部や吹奏楽部とのコラボにて、今でもよく演奏しています。
素敵な音楽家の方に出会うたび、私も自分らしい生き方を選び音楽活動をしたいなと思い始めていました。「私であること」はそんな思いの表れだったかもしません。ミュージックビデオは私が住んでいた思い出の土地、上野や谷中あたりで撮影。東京拠点最後のCDとなりました。
中学校の頃の合唱部だった私。子どもたちと一緒に自分の歌を歌える喜びを知って、合唱交流は多くなっていきました。校歌以外でも、今でも地元で歌い継いでくれている曲もあり、誰かに歌われ演奏されることで、より曲のメッセージが伝えられていくことを感じています。坂井市テーマソングは福井県坂井市内全域で毎日朝6時半と12時に時報メロディとして流れています。
FMヨコハマで1年間、童謡や唱歌をオリジナルにアレンジして歌う番組のパーソナリティを務めさせてもらいました。半年ぶんの同録が配信限定でリリースされていましたが、童謡100周年という節目の来年、新たな曲もアレンジして形に残していきたいと思っています。
来年の2018年12月で、全国デビューした2008年から10年になります。まだまだそれくらいだったのか…と思うのは、私の感覚ではピアノを始めて、歌を好きになったときから既に音楽との生活は始まっていて、長く続けていくことが未だ変わらない一番の目標であるからかもしれません。なのでこの数字に特別感はあまりないのですが、またこの先どんな作品を作っていこうかなあと思い膨らむ節目にしたいと思っています。
また10年後にも変化していること、ようやく話せること、たくさんあるはず。時に流されても、時々に感じる思いは、こうして言葉に、曲に残していきたい。その曲が種となり、どこかの誰かの心で、小さな花を咲かせられるように。
自分だけの「しあわせの花」を探す旅はこれからも、つづく…!
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References & Thanks to
1
6月27日公開
7月から「into Art」での連載が始まるシンガーソングライターのヒナタカコさんをkAMAKULANI編集部が訪ねました。場所は福井県、日本海に臨む三国の地。自然あふれる三国の町で生まれたヒナさんは、東京での活動を経て今再び、故郷に戻りました。連載第1回はプロローグとしてキュレーターのデキがヒナさんと三国の魅力をお伝えします。
2
7月18日公開
福井に戻って3年。音楽で想いを伝えることに専念してきたシンガーソングライターのヒナタカコさんが、ふとしたきっかけでKAMAKULANIで筆を執ることになったのは、言えなかった「ただいま」を言うためなのかもしれない。これまでの音楽活動を振り返りつつ、ヒナさんの現在を、そしてこれからの音楽を知るためのメッセージ。
3
8月22日公開
東京で音楽活動を始めたヒナタカコさん。初めてのライブは観客2人。レコード会社との契約がないまま手探りで活動する中、後にスタッフとしてヒナさんの活動を支えることになる同郷の音楽関係者と出会う。「今はまだ帰れない」その言葉を噛み締めながら、自ら立ち上げたレーベルからプロとしての活動が始まりました。
4
9月19日公開
「生まれはな、君そのものなんや」。ラジオのパーソナリティに言われた言葉がきっかけで、寺生まれである出自を見つめ直したヒナタカコさん。出家のための得度や、自らの体調不良、そして大切な人の大病などの経験を通じて、愛に生きる時間を大切にすることを選んだヒナさんの音楽活動のベクトルは徐々に変わっていきました。
5
10月24日公開
「歌わなきゃ」…福井に帰郷してから、いつの間にか歌うこと自体の楽しさを忘れていたヒナさん。自らに課した重圧から離れて、自分の本当にやりたいことは何かを考えることで、少しづつ自信を取り戻していきました。
6
11月21日公開
東京でのプロデビュー、そして自身で立ち上げたレーベル運営と音楽活動を経て、故郷の福井に戻るまでの道のりを振り返ったヒナタカコさんが、今だからこそ語れるエピソードの数々で自作を紹介!KAMAKULANIに綴られた制作秘話と、ヒナさんの音楽と一緒にお楽しみください。